最近なんだか私のカラダがヘンだ。やたら汗っかきになったし、だるいし、すぐイライラするし…
もしかして、これが更年期?
もしそんなふうに思っているなら、まずはこの記事を読んでみてください。
今回は、更年期障害の基礎知識と、後悔しないために事前に知っておいたほうが良いこと、そして更年期障害のリアルについて、お伝えします。
この記事のここがポイント
- 更年期障害の症状について
- ホルモンバランスが乱れるってどういうこと?
- 失ったら取り戻せないものもあるので、しっかりケアしたい
- 更年期の症状は、将来の認知症のリスクと関係が…
- 30代でも更年期障害に……「若年性更年期障害」
- 5年程度で症状は落ち着く
更年期障害の症状
更年期障害の症状は個人差がありますが、以下のような症状があらわれる傾向があります。
身体の異常に関する症状
- 月経不順
- 不正出血
- 脈が早まる
- 疲れやすい
- めまいがする
- ふらふらする
- 耳鳴り
- 吐き気がする
- 食欲がない
体温に関する症状
- ほてり・ホットフラッシュ
- たくさん汗が出る
- 手足の冷え
体重・体型に関する症状
- 太る、またはやせる
- むくみ
痛みをともなう症状
- 乳房の痛み
- 頭痛
- 肩こり・腰痛・手足のしびれ
感情面・精神面の症状
- イライラ・神経質になる
- 不安感
- うつ・意欲がわかない
- よく眠れない
- 物忘れが多くなる
- 集中力がなくなる
更年期障害で起こる「ホルモンバランスの乱れ」って、具体的には何なの?
よく「更年期になると、ホルモンのバランスが乱れます」と言いますが、ホルモンのバランスが乱れるとはどのような状態のことなのか、具体的に解説していることはなぜか少ないですね。ホルモンのバランスって、いったいなんなんでしょう?
ホルモンバランスの乱れとは、脳と卵巣の間のすれ違い
更年期に入ると、女性ホルモン・エストロゲンの分泌量が急激に減少することは、すでにご存知でしょう。エストロゲンは脳の視床下部の指令を受けて、主に卵巣が分泌しています。しかし更年期にさしかかると卵巣の機能が低下し、エストロゲンを分泌できなくなってくるのです。
しかし、脳(視床下部)はエストロゲンを分泌しなさいという指令を出し続けます。その指令に卵巣が答えきれません。この「脳からの要請と、卵巣のエストロゲン分泌能力」の需要と供給のバランスの乱れのことを「ホルモンバランスの乱れ」というのです。
ホルモンバランスの乱れとは、エストロゲン分泌の不安定さ
さらに、エストロゲン分泌能力が低下した卵巣も、がんばってエストロゲンを分泌しようという努力はします。だけどその結果、エストロゲン分泌が安定しなくなるという点も、「ホルモンバランスの乱れ」と表現できるかもしれません。
たとえば、マヨネーズや歯磨き粉などを使い切る寸前を思い出してください。容器をぎゅっと握りつぶしてもなかなか出てこなくて、出ないな〜と思ったら、「ブシュッ」という音とともに、思いのほかいっぱい出てしまった……なんて経験ありませんか?同じようなことが、エストロゲンの分泌にも言えます。
エストロゲンは、体のあらゆることをコントロールする自律神経に関係しているホルモンであるため、分泌量が極端に減少したり、分泌量が安定しなかったりすると、体温や発汗から感情にいたるまでもが、低下したり不安定になったりするのです。
更年期障害の症状の中でいちばん困る症状は、感情や精神面での症状
更年期障害の症状は多種多様です。もちろん個人差があって、たくさんの症状が出る人もいれば、ひとつの症状だけという人もいますし、まったく何の症状も出なかったという人もいます。
ところで、更年期障害の代表的な症状のひとつに「感情の起伏が激しくなる」ことが挙げられます。実際のところ、更年期の女性にとってこの症状に困っている人が非常に多く、これによって人間関係や家族関係が悪化してしまうということもありえるため、決して無視できない症状です。
体に現れる症状は、いずれ更年期をすぎれば落ち着きます。しかしこのときに失った人間関係や家族関係は元には戻りません。
また、ストレスを感じることも多くなり、うつ状態になってしまう人もいます。その後の人生の豊かさや幸福に、なんらかの支障をきたすかもしれません。
もしもこうした症状があなたにあらわれた場合は、決して軽くみなさず、何らかの方法でホルモンバランスの乱れを補い、感情の起伏をコントロールする努力をしたほうが良いでしょう。
また、記憶力の低下や物忘れが症状としてあらわれることもあり、これにより自信を失ったり、認知症なのではないか、と不安になったりすることもあるかもしれません。
「認知症」と「更年期の記憶力の低下」は、基本的には異なるものです。しかし、記憶に関する重い症状が更年期障害としてあらわれる人は、認知症になるリスクが高まることがわかっています。また、更年期のうちに適切なケアを行うことで、認知症のリスクを下げることができます。
なお、更年期の物忘れについては、以下の記事を参考にしてください。
更年期障害は、人によっては20代や30代であらわれることがある
もしもあなたがまだ30代の女性でも、それは更年期障害かもしれません。近年では、若年性更年期障害の人が増えているのです。若年性更年期障害は30代の人がほとんどですが、20代の人にもあらわれることがあります。
更年期障害のように、月経が不規則になる、手先の冷えや頭痛などの多様な症状にみまわれます。
原因はたいていの場合、不規則な生活習慣やストレス、過激なダイエットなどにあります。もしも更年期障害のような症状があらわれた若い人は、一時的なものかもしれませんので、まずは上記のような問題を改善しましょう。
放置することで、若くして閉経を迎えることもまれにあります。
更年期を乗り切れば、あなたの心と体は新たなバランスを手に入れる
更年期という期間は、閉経の前後5年、あわせて10年間程度の期間のことを言います。更年期障害の症状自体は、発生してから5年程度で落ち着くことが多いです。
先述のとおり、更年期障害の各種症状の原因は、卵巣のエストロゲン分泌能力の低下により、脳からの期待に応えることができなくなり、ホルモンバランスが乱れることにあります。ホルモンバランスとは、脳と卵巣、このふたつの間のバランスのことです。
それってつまり、卵巣はエストロゲンを分泌できないのに、脳がしつこく分泌を要請しているということ。ホルモンバランスが乱れる原因は卵巣だけにあるのではなく、脳の側が混乱していたことも原因のひとつなのだ、ということを表しています。
しかし、卵巣がエストロゲンを分泌できなくなったことに対して、脳の側もいずれは慣れます。「これが新しいカラダなのだ、これが新しい私なのだ」ということを脳がゆっくり理解していくのです。
エストロゲンが分泌しない状態を、新しいカラダの正常なホルモンバランスとして受け入れるようになり、症状は落ち着いてゆくでしょう。