ドライアイって本当に不快ですよね。
仕事中やスマホの画面を見ているときに、目が乾いて痛くなったりゴロゴロしたり。目薬をさしてもまたすぐに乾くから、キリがない。
そんなドライアイの原因としてよく挙げられるのは、主に日常的にパソコンやスマホを使っている生活環境です。
- パソコンやスマホのブルーライト
- 睡眠不足や不規則な生活習慣
- 加齢
- コンタクトレンズの使用
- ストレス
といったことがドライアイの原因としてよく知られています。
確かに上のような要素は、男女ともに共通してドライアイの原因となりえます。
でも、ご存知ですか?ドライアイは、男性よりも女性のほうがはるかに罹りやすいのです。
変だと思いませんか?
男性のほうが女性よりも、パソコンやスマホをよく使う?
男性のほうが女性よりも、コンタクトレンズ利用者が多い?
そんなことはありませんよね。なぜ女性のほうがドライアイになりやすいのでしょうか?
実は「女性に限った場合」でいえば、もっと他のことがドライアイの主な原因になっています。
女性のドライアイの原因には、女性特有の問題が関係しているんです。
この記事のここがポイント
- 女性がドライアイになりやすいのは「ホルモンバランスの乱れ」のせい
- ドライアイに対する「男性ホルモン」の役割
- ドライアイの直接の原因は、「涙の量」と「油膜」の不足
- 涙腺とマイボーム腺の敵「活性酸素」
- アントシアニンで活性酸素対策。でも注意点が……
- 最強のアントシアニン含有フルーツ「マキベリー」
女性のほうがドライアイになりやすい理由
女性は、男性よりも2倍以上、ドライアイになりやすいことがわかっています。
ドライアイ研究会と参天製薬の共同研究で、 オフィスワーカーを対象に行われた調査では、男性でドライアイと診断された人は8.0%だったのに対し、女性は18.7%。男性の2倍以上もの人がドライアイでした。
参考オフィスワーカーを対象とした疫学調査
また、韓国で行われた調査によると、19歳~59歳までのすべての年代で、ドライアイと診断された人は女性のほうが男性よりも多くいました。
参考Prevalence of and Risk Factors Associated With Dry Eye: The Korea National Health and Nutrition Examination Survey 2010–2011
なぜこのように性別によって差が出てくるかというと、女性のドライアイの大きな原因になっているのが、月経や更年期などに伴うホルモンバランスの乱れにあるからです。
私たちは、自律神経のはたらきによって涙を分泌して、目を潤しています。
自律神経には、体を活動的にする「交感神経」と、体を休息させる「副交感神経」がありますが、涙液(涙のこと)の分泌は副交感神経が担当しています。
だから、月経周期や更年期などで、女性ホルモンのバランスが崩れ、自律神経のはたらきが不安定になってくると、副交感神経のはたらきも乱れてしまい、涙液の分泌量が減りやすくなります。
でも、ドライアイの原因は、「女性ホルモン」のバランスの変動や自律神経の不安定だけではありません。
実は、男性ホルモンも関わっているのです。
ドライアイと男性ホルモンの関係
涙液は、目頭のあたりにある涙腺という場所でつくられます。「涙腺がゆるむ」の涙腺ですね。
また、涙液の表面は、油成分が膜をつくり、外側を覆っています。この油膜が、いわばフタの役目をして涙液の蒸発をふせぎ、目の潤いが逃げないよう閉じ込めています。
この油膜のもととなる油成分をつくっているのが、マイボーム腺という器官です。まつげの生え際あたりにあります。
要するに、涙量を左右するのが涙腺のはたらき。涙の蒸発しやすさを左右するのがマイボーム腺。
そして、男性ホルモンは、涙腺とマイボーム腺のはたらきを高めます。
でも、女性は男性ホルモンの分泌が少なく、そのために涙腺やマイボーム腺のはたらきが弱くなります。つまり……
女性はもともと涙量が少なくて、涙が蒸発しやすいのです。
ちなみにドライアイになる人は「閉経前の女性」が多いと言われています。閉経後の女性は、男性ホルモンの分泌が閉経前と比べて活発になるからです。
ここまでをまとめると、ドライアイの原因は、涙の量と油膜の不足。これらを左右するのが、涙を供給する涙腺と、油を供給するマイボーム腺という器官。
そして、それら2つの器官のはたらきのカギを握るのが、男性ホルモン。
では、男性ホルモンは、涙腺やマイボーム腺にどのように働きかけるものなのでしょう?
そのメカニズムは完全には解明されていませんが、男性ホルモンが活性酸素に働きかけるからではと考えられています。
ドライアイ対策は、活性酸素対策
体中のあらゆる細胞に言えることですが、私たちの体を形づくるひとつひとつの細胞は、生きているかぎり常に活性酸素を排出しています。細胞ひとつひとつが、生きるためのエネルギーを生産する「工場」だとしたら、活性酸素は、工場の煙突から排出される有害な煙のようなものです。
その活性酸素が、細胞自身を傷つけたり、細胞のはたらきを妨げてしまいます。
涙腺やマイボーム腺も、活性酸素のせいで、活発に働くことができなくなってしまいます。
男性ホルモンがじゅうぶんに分泌されている場合、男性ホルモンに備わる抗酸化作用によって、各器官を活性酸素から守ることができ、その結果として涙腺やマイボーム腺がうまく働けるようになります。
要するに、男性ホルモンの分泌不足でドライアイになる原因は、活性酸素なのです。
つまり、ドライアイ対策=活性酸素対策と言えます。
ドライアイ対策は、抗酸化作用があれば何でもいいというものではない
とはいえ、
「目の不調は、活性酸素のせいだ。だから抗酸化食品を摂ろう」
と単純に考えてはいけません。なぜなら、抗酸化物質は、働く場所が決まっていることがあるからです。
『ルテインはゼアキサンチンと一緒にとらなければ意味が無い。その理由は?』
という記事の中で、「ルテインとゼアキサンチンは、目の中でもそれぞれ別の場所で働く抗酸化物質だから、両方を同時に摂らなければならない」と書きました(ドライアイの話ではありませんでしたが)。
ドライアイ対策も、これと同じ。涙腺やマイボーム腺にはたらきかける抗酸化物質を摂らなければなりません。
女性のドライアイ対策のための食品成分とは?
一般的なドライアイ対策は、あくまでも男性・女性どちらも有効なドライアイ対策です。でも実際、ドライアイに悩んでいる女性の方は、女性のためのドライアイ対策をするべきです。
そこで、ドライアイに良い食品成分として、アントシアニン(デルフィニジン・シアニジン)と、マキベリーをご紹介します。
アントシアニンには種類がある!正しいアントシアニンでドライアイ対策
ブルーベリーの有効成分としておなじみのアントシアニンは、目の健康に良いとして有名ですが、実はアントシアニンが眼そのものに直接良い作用を及ぼすかどうかについては、疑問視されています(その割に、目の健康に良いとされるサプリなどによく入っていますが……)。
では、なぜドライアイ対策としてアントシアニンをおすすめするのかというと、一部のアントシアニンは、高い抗酸化力を備えているからです。
あまり知られていませんが、実はアントシアニンには、いくつかの種類があります。
デルフィニジン、シアニジン、ペオニジン、ペチュニジン、マルビジン・・・などなど、実は15種類もあります。でも、どれも一括りに「アントシアニン」と呼ばれることがほとんど。アントシアニンなのは事実なので間違いではないんですが、とりわけドライアイや目の健康に作用するのは、このうちのデルフィニジンとシアニジンの2種類だけだと考えられています。
デルフィニジンとシアニジンは、たくさん種類があるアントシアニンの中でも、飛びぬけて高い抗酸化力をもちます。
目に良いアントシアニンというのは、デルフィニジンとシアニジンのことを指していたわけです。
特にデルフィニジンが一番強い抗酸化作用を備えているので、デルフィニジンこそ、アントシアニンの抗酸化力の正体と言えます。
だから、アントシアニンなら何でも目にいいのかというと、そうではありません。注意してくださいね。
「アントシアニンが眼に良い」のウソ
今回のこの記事では、あくまでも「アントシアニンの抗酸化作用」について書いています。アントシアニンが眼そのものに対して働きかけるのではなく、優れた抗酸化作用によって眼周辺の器官のはたらきが高まる、という話です。
私としては「アントシアニンは眼そのものに対して働きかけるのではない」ということは強調しておきたいと思います。
アントシアニンはあまりにも眼に良いということで知られているので、このように言うと驚く人もいるかもしれませんが、アントシアニンは、研究分野では眼そのものに直接良い作用を及ぼさないのではないか、と考えられています。
というのも、いちおうの科学的根拠として、ものを視るために必要な網膜のはたらき(ロドプシン合成)をアントシアニンが活性化させることがわかっています。しかし、その網膜のはたらきを活性化することと、目の不調そのものにどのような関係があるのかは明らかにはなっておらず、「目の健康に良い」という意味では十分な科学的根拠があるとは言えない状態です。
また、とりたててアントシアニンが目に良いと主張しているのは、学術・研究分野の人たちではありません。健康食品の販売企業の広告宣伝がほとんどです。
わたしたちは、むやみに「アントシアニン=眼に良い」というイメージを持っていますが、実は健康食品会社の広報活動に乗せられていただけだったのです。
最も優れたドライアイ対策食品「マキベリー(マクイベリー)」
マキベリーまたはマクイベリーとも呼ばれる植物があります。ポリフェノール類が山ほど含まれている優れた食品なので「スーパーフルーツ」と呼ばれている果物です。といってもその辺のお店で気軽に売っている果物ではないので、ほとんどの場合はサプリメントなどで摂取することになります。
マキベリーは、本来は美容に良いということで人気があります。なぜかというと、マキベリーにはアントシアニンが豊富に含まれていて、しかもそのほとんどがデルフィニジンとシアニジンで占められています。アントシアニンが豊富な植物として有名なのはビルベリー(ブルーベリー)ですが、マキベリーとビルベリーのアントシアニンを比較すると、ご覧の通り。
マキベリーは、アントシアニンを含む食品としては最強といっていいでしょう。さすが、スーパーフルーツと呼ばれるだけのことはあります。
さらに、マキベリーに含まれるポリフェノールのうちの一つがイソフラボン。イソフラボンは女性ホルモンのバランスを整えてくれます。マキベリーをお薦めするもうひとつの理由がコレ。まさにホルモンバランスにまつわるドライアイに悩む人にはうってつけの食品と言えるでしょう。
更年期やPMSのケア全般には、根本的な女性ホルモン対策もおすすめ
これをお読みの方の中には、更年期特有の悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか?ドライアイも、実は更年期障害の症状のひとつです。
マキベリーはとりわけドライアイの悩みに効果を発揮しますが、更年期の悩みは何もドライアイに限ったことではありません。
ドライアイ以外の症状のほうが気になる場合は、やはり根本的な女性ホルモン対策をするのが良いでしょう。
下の記事で更年期障害について書いています。