認知症に良い食品成分は?クルクミン&イミダペプチドの認知症予防・改善効果

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認知症……痴呆、あるいは俗に「ボケ」とも言いますね。とりわけ閉経後の女性はそのリスクが高くなります。

物忘れから始まり、最終的には人格崩壊。自分らしい人生を送ることができなくなってしまう恐ろしい症状です。自分だけならまだしも、周囲の人々をも不幸にしてしまいます。

今回は、認知症の原因について解説したうえで、それを踏まえた予防や改善に効果的な食品としてクルクミンイミダゾールジペプチドをご紹介します。

この記事のここがポイント

  • 認知症のほとんどが「アルツハイマー型認知症」
  • アルツハイマー型認知症の原因物質は、アミロイドβというタンパク質
  • アミロイドβを生み出すのがベータセクレターゼ
  • クルクミンがベータセクレターゼの活性を抑制する
  • クルクミンのウコンからの吸収率はすごく悪いので、吸収力を高める工夫が必要
  • イミダゾールジペプチドで神経細胞を守るべし

認知症の種類について。ほとんどの場合は「アルツハイマー型」

認知症と一口に言っても、いくつか種類があります。
アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症……

このうち最も身近な認知症が、アルツハイマー型認知症です。一般的に認知症といえば、このアルツハイマー型のことを指すと言って良いでしょう。認知症の5割以上を占め、特に女性のほうが男性よりも発症しやすいと言われています。

アルツハイマー型認知症の症状

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アルツハイマー型認知症の症状は以下の通りです。

  • 物忘れ:ふつう、物忘れをしたときは、あとから指摘されれば「そうだった」と思い出せますよね。でもアルツハイマーの人は思い出せません。忘れていること自体がわからなくなります。
  • 判断力の低下:判断が必要な作業などができなくなるため、料理ができなくなったりします。また、季節によって着る服を選ぶとか、着ている服に違和感があるなど、選んだり考えたりする能力を失います。
  • 見当識障害:今自分がいる場所や時刻、一緒にいる相手のことがわからなくなります。

アルツハイマー型認知症は、ものがわからなくなるという症状なので、「いつから認知症になったのか」がわかりづらく、”病気のはじまり”は曖昧なことが多いです。

しかし、症状がある程度進んだ段階から数えれば、平均して約5年で死亡すると言われています。おもな死亡原因は「全身の衰弱」や「肺炎」が多いようです。つまり、自分自身の健康管理への判断力が失われてしまうことが死につながっています。

アルツハイマー型認知症の原因

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アルツハイマー型認知症の原因は、まだはっきりと解明されていません。しかし、現在有力だと言われているのは、脳内にアミロイドβと呼ばれるタンパク質が老廃物として蓄積されることが原因とする説(アミロイド仮説)です。

非常にややこしい説なんですが、簡単にいうと以下のような流れでアルツハイマー型認知症になると考えられています。

1:アミロイド前駆物質(APP)がベータセクレターゼに切断され、アミロイドβが発生する

アミロイド前駆物質(APP)という、ふだんは脳の神経細胞の修復などに利用されている有用なタンパク質があります。このAPPがベータセクレターゼという酵素によって”切断”されると、神経細胞に対して毒性をもつアミロイドβという悪玉物質になります。

2:アミロイドβが蓄積し、アミロイドβオリゴマーになる

発生したアミロイドβは、通常はインスリン分解酵素などによって速やかに分解されます。
しかし、加齢や糖尿病などによって、分解が追いつかずに蓄積してしまうようになります。アミロイドβが蓄積して集まったものをアミロイドβオリゴマーといいます。

3:アミロイドβオリゴマーの毒性によって神経細胞が死滅し、認知症が進行する

アミロイドβオリゴマーには神経細胞への強い毒性があり、これによって神経細胞が死に、脳の萎縮が進行してしまいます。

と、このような流れでアルツハイマー型認知症になってしまうのですが、恐ろしいことに、上に挙げた1~3の工程はループします。神経細胞が破壊されると、ベータセクレターゼがますます活性化するからです。

アミロイドβオリゴマーが神経細胞を壊す(3の工程)→ベータセクレターゼが活性化する1の工程が強化される)→アミロイドβが発生しやすくなり、より多くのオリゴマーが形成される(2の工程)→オリゴマーが神経細胞を壊す……といった具合に。

このような悪循環の連鎖で、アルツハイマーは進行するわけです。

女性のほうがアルツハイマー型認知症になりやすいのはなぜ?

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アルツハイマー型認知症は、男性よりも女性のほうが発症しやすいと言われています。

なぜかというと、閉経後の体の変化が関係しています。
女性ホルモンであるエストロゲンは、アルツハイマー型認知症を防ぐうえで非常に重要な働きを担っています。そのため、閉経によりエストロゲンの分泌が減ることで、認知症になりやすくなってしまうのです。

というのも、エストロゲンは、

  • ベータセクレターゼの活性を抑え、アミロイドβが発生しにくくする
  • アミロイドβをオリゴマーにすることを防止する
  • オリゴマーの毒性を抑えて神経細胞を守る

という具合に、アルツハイマー型認知症の発症を阻止する万能薬のように働きます。逆に言えば、閉経後はエストロゲン分泌が減少しますので、

  • ベータセクレターゼの働きが活発になる
  • オリゴマーができやすくなる
  • オリゴマーの毒性が強くなる

という状態に陥ってしまう、ということが言えます。女性が発症しやすい理由もうなずけますね。

鍵になるのはベータセクレターゼの活性抑制

アルツハイマー型認知症を予防・改善するポイントになるのは、ベータセクレターゼのはたらきを抑えること。実際、医療業界でもベータセクレターゼ阻害剤の創薬に注目が集まっているようです。

しかし、一般的な方法で手に入る自然の食品でも、ベータセクレターゼのはたらきを抑制する効果をもつものがあるんですよ。

クルクミンでベータセクレターゼを抑える

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アルツハイマー型認知症を予防改善する食品として、まず挙げられるのはクルクミンです。

クルクミンが含まれているものといえば、まず有名なのがウコンですね。肝機能を高めるので酔い止め・二日酔い防止のドリンク剤なんかに入っていますが、意外にも認知症予防にもなりえます。
カレーで使われるスパイス・ターメリックもウコン。カレーの黄色い色素の正体がクルクミンです(余談ですが、インド人には認知症の人が少ないそうです)。

そのほかタクワンの着色料としても使われており、わりと身近な成分ですね。

クルクミンのアルツハイマー型認知症への効果効能

国内外の複数の研究により、クルクミンは、ベータセクレターゼのはたらきを抑えることがわかっています。これによってアミロイドβの発生を抑えられ、認知症の予防・改善につながります。
そのうえさらに、アミロイドβオリゴマーの発生を阻止したり、オリゴマーを分解するはたらきもあることがわかっています。

すごい働きですね。ただし、注意点も……

ウコンから摂取しようとすると吸収率が低い。オリーブオイルや豆とセットで摂ると吸収がよくなる

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クルクミンを食品から摂取しようとするなら、最も身近な方法はウコンを活用することです。しかし、ウコンから吸収できるクルクミンは吸収率が最悪です。
実際、ウコンドリンクなんかも、効き目に個人差がある気がしますね(どうでもいいですが、私はあんまりウコン効かないんです)。

ですので、クルクミンを摂取するなら、吸収率を高める工夫をすることが大切です。
オリーブオイルやアボカド、鮫肝油などに含まれる「スクワレン」や、豆類に含まれる「レシチン」などが、クルクミンの吸収を助けます。オリーブオイルや豆とセットで摂ることをおすすめします。

サプリメントで摂取するなら、吸収率を高めるための何らかの工夫がしてあるものが良いでしょうね。

抗酸化物質で神経細胞を守る

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アミロイドβは脳神経細胞への毒性を持ちますが、その毒性とは、とどのつまり活性酸素の発生です。そこで、抗酸化作用によってアミロイドβの毒性から神経細胞を守ることが必要になります。先ほど紹介したクルクミンは、抗酸化力という点でもなかなかに優秀なので、ベータセクレターゼの活性を抑えるのみならず、神経細胞の防衛力も強化できます。

また、最強の抗酸化物質として名高いイミダゾールジペプチド(バレニン・アンセリン・カルノシン)を中高年の人に摂取させたところ、記憶機能にはたらく脳の一部の萎縮を抑制したことが確認されています。本来であれば年齢とともに萎縮するはずなのですが、それを阻止でき、認知機能が高められ認知症の予防に役立つことがわかっています。

ちなみに、イミダゾールジペプチドの場合は、神経の過剰なはたらきも抑えられていたので、うつの予防やアルツハイマー型認知症の初期~中期にみられる睡眠障害幻視といった症状にも効果がある可能性があるとして注目されています。

なお、イミダゾールジペプチドのその他の効果については、以下の記事にまとめていますのでご覧ください。
イミダゾールジペプチドの効果効能と副作用、過剰摂取量は?

認知症の予防は、あなた自身が納得できる人生の終幕を迎えるために必要なこと

体の反応や脳の変化というのは、体自身がそれを要請しているのかもしれません。
たとえば「死の恐怖から逃れるための体の防衛反応としての認知症」という考え方も、できなくはありません。
しかし、周囲の人々へ多大な迷惑をかけながら人生をまっとうすることは、たとえそれが自分にとっては幸福な幕切れだったとしても、できるだけ避けたいもの。予防に努めたいものです。

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