お酒を飲んだ翌日の二日酔い対策に効果的として知られているウコン。実は、それ以外にもさまざまな効果効能があります。
- 認知症の改善
- 抗酸化作用によるコレステロール対策や美肌効果
- 胃腸の働きを良くする
などなど……。
そんな万能で強力な食品であるウコンですが、二日酔い対策として広く親しまれているせいで、いくつかの誤解が生まれたり、間違った知識が広がっています。
そして、それらの誤解や間違いにより、危険な副作用の被害を受けてしまう可能性もあります。
今回は、ウコンの効果効能と副作用、そしてウコンのパワーを安全かつ最大限に利用する方法についてご紹介します。
この記事のここがポイント
- ウコンは二日酔い対策、認知症対策、コレステロール対策や美肌に効果的
- ウコンパワーの源になる有効成分は「クルクミン」
- ウコンは、肝炎や脂肪肝など肝臓にトラブルがある人には、副作用の危険がある
- 副作用の原因は、ウコンに含まれる多量の鉄分
- 有効成分クルクミンを抽出したものを摂取しよう、ウコンそのものの摂取は避けよう
- クルクミンには吸収率が良くないという問題が……
- クルクミンの吸収率を高める工夫をしたサプリメントを摂取しましょう
ウコンの意外な効果効能
実はウコンには、多彩な効果効能があります。そしてそのパワーの源は、有効成分・クルクミンです。
クルクミンは、ウコンに含まれているポリフェノールの一種で、食品成分としてはウコンにしか含まれていません。
摂取すると、体内に吸収した際にテトラヒドロクルクミノイドという物質に変化することで、体内で以下のような働きをしてくれます。
クルクミンの二日酔い改善効果
クルクミンの効果の中でも最も有名なのが二日酔い対策ですね。おそらくほとんどの人はウコンといえば二日酔い対策として認識しているのではないでしょうか。
クルクミン(テトラヒドロクルクミノイド)が肝機能を高めることでアセトアルデヒドの分解を促進します。
なお、ウコンの二日酔い改善効果については、ハウス食品のグループ会社であるハウスウェルネスフーズが検証しています。結論としては、
二日酔いを効果的に改善することが示されました。
引用元:ウコン研究所 – ウコン飲料の健常者における二日酔い改善作用(ハウスウェルネスフーズ)
翌朝の血中エタノール濃度や翌朝の自覚症状(眠気やだるさ、頭重感など11項目の症状)においてプラセボ群と比較して良好だという結果が出ています。
クルクミンの認知症改善効果
クルクミンの効果の中でも、近年もっとも注目を集めているのが、認知症改善効果です。
クルクミンは、認知症予防・改善に非常に効果的であることがわかっています。
認知症の根本的な原因となるアミロイドβやベータセクレターゼに働きかけるため、認知症の根本的な解決につながるのではないかと期待されており、その効果は米カリフォルニア大学の研究チームによる研究や、その他の疫学的な調査でも裏付けられています。
認知症に対するクルクミンの働きについては、こちらの記事に詳しくまとめています。
クルクミンの抗酸化作用でコレステロール対策、美肌効果
クルクミンには強い抗酸化作用が備わっています。クルクミンに限ったことではありませんが、抗酸化物質を摂取することは動脈硬化の予防につながります。
動脈硬化の原因は、酸化したLDLコレステロールが血管の内壁に堆積してこびりつくことで血管壁が厚くなり、そのぶん血液の通り道が狭くなったり、血管がしなやかさを失ってしまうこと。クルクミンのような抗酸化物質は、その発端となるLDLの酸化を防いでくれることがわかっており、その効果はヒトによる実験結果でも確認されています。(論文情報)
また、抗酸化作用があるため体内の活性酸素を除去します。活性酸素は肌のハリやシミなどの原因となるメラニン色素発生の原因となるもので、抗酸化作用をもつクルクミンは美肌にも役立ちます。
ウコンのクルクミンは、他にもいろいろ効果があると言われているけど…
クルクミンは、他にも以下のようなはたらきがあると言われています。
- 胃のはたらきを良くして胸やけを防止する効果
- 変形性関節症の一部の症状への効果
……上記の2点は、科学的な根拠はあるのですが、はっきり「効く」とは断言できなかったり、一部の症状についてしか効果が明らかにされていなかったりしますので、クルクミンの効果としては、先に挙げた3点(二日酔い・認知症・動脈硬化の改善)が主なものであるといえます。
ウコンの副作用について。肝臓に問題がある人は要注意!
このことはあまり知られていませんが、ウコンには気を付けたい副作用があります。ウコン飲料などで広く親しまれているわりに、副作用は場合によっては重篤になる可能性がある、要注意食品だったりします。
ウコンは、ある種の病気に罹患している人にとっては危険です。もちろん、健康な人にとっては安全な食品なのですが。それにしても、もっと注意喚起をしたほうが良いんじゃないの?と個人的には思うのですが……。
ウコンそのものは鉄分の過剰摂取となる恐れがある
ウコンは肝機能を高めるため、肝臓に良いという印象がある人も多いのではないでしょうか?
たしかに、健康な肝臓を持つ人にとっては、肝機能を高めて体調を良くしてくれるはたらきがあります。しかし、肝臓に問題を抱えている人にとっては悪影響があるのです。
ウコンという植物には、多量の鉄分が含まれています。肝炎などの肝臓の病によって肝機能が低下している人は、鉄分の代謝能力が低下しているため、体内の鉄分が過剰な状態になってしまいます。それにより、酸化した鉄が細胞を損傷して、肝炎がひどくなる可能性があります。特にC型肝炎や脂肪肝と診断されている人にとっては禁忌と言って良いほどです。
肝炎などの診断をうけてすでに通院している人の中には、鉄分の摂取をお医者様から制限されている人も多いでしょうけれど、そもそも肝臓の病気や肝機能の低下というのは、なかなか自分では気付きにくいもの。自分は健康体だと思っていても、実はまだ肝臓でトラブルが起こっていることに気付いていないだけだったり、気付いた頃にはもう手遅れだったり、ということはよくある話です。
そんな怖い副作用があるウコン。では摂取してはいけないのかというと、そんなことはありません。
ウコンパワーを安全に摂り入れる方法をご紹介します。
ウコンではなく、サプリメントなどで「クルクミン抽出物(ウコンエキス)」を摂るなら安全
鉄分が多く含まれているのは、植物(食品)としてのウコン自体の話。けれども、ウコンの有効成分はクルクミンなのですから、ウコンの効果効能の恩恵を受けたければ、ウコンではなくクルクミンを直接摂取すれば良いのです。
つまり、クルクミン抽出物を使用したサプリメント等を摂ることで、鉄分の過剰摂取を避けながら安全にウコンパワーを利用できるというわけです。
そして、ウコンのサプリメントを利用する場合は、「クルクミン抽出物(ウコンエキス)」のサプリメントを選び、「ウコンそのもの」のサプリメントを避けることが重要です。
クルクミンは吸収率に問題がある
クルクミンの最大の問題点は、経口摂取して消化したときの、体内への吸収率の低さです。
クルクミンの効果のうち、そのほとんどは体内に吸収することができた場合に得られる効果です。吸収できなければ、期待するような効果は得られませんから、しっかり吸収できるように、何らかの工夫をする必要があります。
ウコンを食事によって摂る場合は(たとえばカレーに含まれるターメリックなどのスパイスとして等)、何の工夫もできないので吸収がうまくいきません。体感できる効果は少ないと思った方が良いでしょう。まあ、吸収できなかったとしても、胃腸の中で消化を助ける働きがあるので、それはそれで良いものではあるのですが。
でも、しっかり吸収することができてこそ、クルクミンの真価を体験できるというものですよね。
クルクミンをしっかり吸収できるように工夫されたサプリメントを摂りましょう
サプリメント等で摂るなら、吸収率が高まるように工夫をされたサプリメントがあります。中にはテトラヒドロクルクミノイド(体内に存在するクルクミンそのままの形態)を摂取することができるサプリメントもあり、各社それぞれ工夫を凝らしています。
私は、この記事の冒頭で「広く親しまれているせいで誤解や間違った知識が広がっている」と書きましたが、広く親しまれているからこそ、これまで多くの研究が行われ、進化したサプリメントが現れはじめたのがウコンサプリ・クルクミンサプリであるとも言えます。
しかし、その一方で何の工夫もしていないサプリメントも、いまだにたくさんありますので、サプリメントを利用しようと思っている人は事前によく調べてから利用してください。