疲れをとるとして人気のイミダペプチド。正確にはイミダゾールジペプチドといい、『バレニン』『アンセリン』『カルノシン』という3つの成分の総称です。
最強クラスの抗酸化作用をもち、疲れをとってくれることで名高い成分です。
疲労回復以外にも、いくつかの優秀な効果効能をもっているので、さまざまな悩みに対して有効活用したいですね。
今回は、このイミダゾールジペプチドを十分に活用するために、効果効能はもちろんのこと、副作用や過剰摂取量といった摂取する上での注意点についてもまとめてみました。
この記事のここがポイント
- イミダゾールジペプチドは非常に高い抗酸化力をもつ
- 抗酸化力により、肉体疲労を回復し、持久力や運動能力が向上
- 精神疲労も回復させ、うつにも良い。抗酸化作用が認知症も改善
- AGEsという老化物質を分解するので、老化防止に
- 過剰摂取については、1200mg/日摂っても大丈夫という試験結果アリ
- 副作用や安全性についての情報は、根拠となる資料がある
- アレルギーがある人は注意
イミダゾールジペプチドの効果効能
イミダゾールジペプチドの主な効果効能は次の通りです。
- 肉体疲労の回復。疲労の原因物質である活性酸素を除去
- 精神疲労の回復。倦怠感や疲労感、うつ病や認知症にも
- 持久力や運動能力の向上
- “糖化”を防ぎ、老化の防止に
- 尿酸値を下げる。痛風、腎不全や尿路結石の予防に
多彩な効果効能がありますよね。これらを、以下にひとつひとつ解説していきます。
イミダゾールジペプチドの効果1:肉体疲労の回復。疲労の原因物質である活性酸素を除去
イミダゾールジペプチドの効果としてまず挙げられるのは、肉体の疲労回復です。しかしその前に、そもそも疲労とは何でしょうか。
私たちは、細胞内でエネルギーをつくり、そのエネルギーによって筋肉を収縮させ、生命活動を営むことを可能にしています。
しかし、活性酸素による酸化ストレスが、このエネルギー生産能力を低下させてしまいます。疲れたときに感じる「休息がほしい」「だるい」「気力が出ない」という感覚は、酸化ストレスによってエネルギーの生産量が不足したために感じるものなのです。
つまり、疲れの元凶になるものは活性酸素。この活性酸素を除去するものに抗酸化物質がありますが、イミダゾールジペプチドは最も効果的な抗疲労効果をもつ抗酸化物質であると言われています。
抗疲労プロジェクトの研究でわかった、6種類の抗疲労物質
「抗疲労プロジェクト」という、厚生労働省と文部科学省の研究班によって始まった研究では、疲労対策により効果的な成分を見出すために、23種類の食品成分の抗疲労力を調べました。
そのうち効果が高いとされた上位6種類の成分が選び出されました。その中には、活性酸素から細胞を守る働きに特化したものもあれば、エネルギー生産を促進するはたらきをもつものもありますが、そのすべてが抗酸化物質でした。
イミダゾールジペプチドは、その6種類の中でも、とりわけ活性酸素からの防衛力という点では最も効果的だと実証された、最強の抗酸化作用をもつ抗疲労成分です。
イミダゾールジペプチドの効果2:精神疲労の回復。倦怠感や疲労感、うつ病や認知症にも
体を動かしてなくても、疲れることってよくありますよね。長時間のデスクワークや、仕事で精神的な緊張状態を強いられたり、プレッシャーを感じたり、何かに失敗してクヨクヨと思い詰めてしまったり。そんなときに感じる疲労が、精神疲労です。
実は精神疲労も、精神的なストレス等によって発生した活性酸素によるものです。脳は、体内でも特にエネルギーの消費量が多いぶん、たくさんの活性酸素が発生します。このとき発生した活性酸素が脳神経細胞のエネルギー産生を抑制してしまい、疲労感やだるさを感じます。
ひいては、神経伝達物質の働きも悪くなり、意欲の低下や活動性の減退をまねきます。そのため、うつ病の原因の一端にも活性酸素が関わっていると言われています。
だからこそ、抗酸化力の点で優れた効能をもつイミダゾールジペプチドは、精神疲労に悩む人からも評判が良いのです。
また、東京大学と国立精神・神経医療研究センターのグループの研究により、イミダゾールジペプチドの抗酸化作用が脳の萎縮を抑え、認知機能を改善することが確認されました。そのため認知症への活用が期待されています。
イミダゾールジペプチドの効果3:持久力や運動能力の向上
持久力や筋力の向上についても、多くの報告があります。
特に持久力については顕著です。なんせ最強の抗疲労力をほこる成分ですから、運動中にも疲れを感じにくく、体がスムーズにエネルギー生産ができる状態を長く維持することに役立つわけで、これが持久力の向上に一役買っていると思われます。
また、パワーの向上についても報告されています。中高年の人を対象にしたヒト実験により、最大筋力や身体のバランスをとる能力が向上しました。また、スポーツ選手・アスリートを対象にした実験でも運動能力やパフォーマンスの向上がみられました。
これは、エネルギー生産能力を促進することにより、筋肉の収縮力を大きく引き出すことができているためだと考えられています。
実際、イミダゾールジペプチドは、筋力トレーニングを行うトレーニーやアスリートからも、最近大きく注目されています。
イミダゾールジペプチドの効果4:糖化を防ぎ、老化の防止に
イミダゾールジペプチドは、老化の原因となる「糖化」を防ぎます。
そもそも老化とは、体内で糖とタンパク質が結びついて変化した老化物質AGEs(糖化最終生成物質)の蓄積によって起こると言われています。
イミダゾールジペプチドには、このAGEsの生成を妨害したり、分解して排泄させる効果があるため、老化防止に役立つと考えられています。
イミダゾールジペプチドの効果5:尿酸値を下げる。痛風、腎不全や尿路結石の予防に
イミダゾールジペプチドには、体内で尿酸の産生を抑制し、過剰な尿酸をの排出を促し、尿酸値を低下させる効果があります。尿酸値が高いと痛風や尿路結石のほか、動脈硬化や心筋梗塞などの原因となるため、そのような生活習慣病の予防に効果があります。
筋力トレーニングをされている人は、尿酸値に注意しなければなりません。高負荷の筋力トレーニングは無酸素運動ですが、無酸素運動は尿酸値を上げる原因になり、痛風のリスクを高めます。そういう点でもイミダゾールジペプチドは、トレーニングとの相性が良い成分と言えるでしょう。
イミダペプチドは3種類ある。どう違う?
イミダゾールジペプチドには、バレニン、アンセリン、カルノシンの3種類ありますが、どの種類のイミダペプチドも構造がとても似ている物質で、その効果効能についても大きな違いはありません。
ちなみに、3種類のイミダゾールジペプチドは、主となる原料に違いがあります。バレニンはクジラ、アンセリンはマグロなどの回遊魚、カルノシンは鶏などの鳥類が原料となります。
イミダゾールジペプチドの適量は?何mgからが過剰摂取?
市販のサプリメントの含有量として多く見かけるのは、1日あたり400mgぐらいです。これは鳥胸肉100g分のイミダゾールジペプチドに相当します。日常の食事と比較しても、まったく不自然な量ではありませんね。
基本的には、何でも過剰摂取することはよくありませんが、日頃の食事にプラスしてサプリメントなどで補うならば、各メーカーの摂取目安を守っている限りでは安全です。
イミダゾールジペプチドは、被験者にわざと過剰摂取させて検査(1200mg/日を4週間摂取)をしたところ、各種検査でまったく問題なかったという安全性の試験結果がありますので、過剰摂取の危険性はかなり低そうです。
とはいえ、繰り返しますが、メーカーの摂取目安は守りましょうね。当然ですが。
イミダペプチドの副作用は?安全なの?
イミダペプチドに限ったことではないのですが、インターネットで”イミダペプチド 副作用“で検索すると、「医薬品ではなく天然の食品なので、副作用は無い」という常套句を見かけますよね。これって、一見すると「これを飲んでも安全ですよ」という意味に聞こえるんですが、実のところ…
「医薬品ではなく食品に分類されるものなので、“副作用”という概念が無い」
という意味なのです。誤解を招く表現というか、屁理屈ですね。
たとえ天然の食品成分であろうと、体に変調をきたす可能性が無いとは言えないでしょう。天然の毒物だってたくさんあるわけですし。
イミダゾールジペプチドの安全性について、もっと納得できる情報は無いものでしょうか?
というわけで、賢明な皆様のために、「安全であることの根拠資料」を消費者庁から引っ張ってきました。
イミダゾールジペプチドには安全性の根拠がある
某社が販売しているイミダゾールジペプチド入りのサプリは『機能性表示食品』なので、安全性に関する資料が消費者庁に提出されており、私たち消費者もそれを閲覧することができるようになっています。
資料の内容を要約すると
こういった検証をしっかり積み重ねた上で、イミダゾールジペプチドは安全であるとされています。
アレルギーがある人は注意
副作用の点ではどうやら安全なようですが、問題はアレルギー。
ほとんどのイミダペプチドサプリはカルノシンとアンセリンを主に配合しています。とくにカルノシンの原料は鶏のエキス。鶏はアレルギーをお持ちの方もけっこういらっしゃいますね。鶏やたまごなどを口にできない人は避けたほうが無難でしょう。
アレルギー面で一番安全なのは、おそらくクジラを原料とするバレニンなんですが、サプリとして市場に出回っている商品がまだ少ないのが残念なところです。
もちろん、これらのアレルギーが無い人は、安心して摂取できます。