田七人参のサポニンは更年期に効果あるって本当?副作用はある?

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田七人参という植物の名前を、特に女性の方なら耳にしたことがある人もいるのでは?
更年期障害の症状をやわらげる食品として、ときどき話題に上る薬用植物です。

田七人参の主な有効成分は、ジンセノサイドというサポニンの一種。
ジンセノサイドの血管拡張作用が、更年期障害の諸症状をやわらげることから、田七人参は更年期の女性におすすめだと言われています。

でも、なぜ血管拡張作用があると、更年期障害の症状がやわらぐのでしょうか?
そして、はたして田七人参は、本当に効果があるのでしょうか?

今回は、田七人参の効果効能副作用について、そして田七人参の欠点についてもご紹介します。

この記事のここがポイント

  • 更年期障害の諸症状の多くは、自律神経のアンバランスが原因
  • 更年期は、交感神経が強くなってしまう
  • 交感神経が優位に → 血管が収縮 → 更年期障害の諸症状
  • つまり、血管を拡張すれば症状がやわらぐ
  • 強力な血管拡張作用をもつのが田七人参
  • ただし、女性ホルモンをサポートできない欠点がある

田七人参が効果を発揮する仕組み:自律神経と更年期障害のカンケイ

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田七人参に含まれるジンセノサイドには、たくさんの効能があります。たくさんありすぎて、結局何に効くのかよくわからないという印象を受けるかもしれません。

でも、たくさんの効果効能を一言で表すなら、『血管を拡張して自律神経のバランスを整える作用』と言えます。

更年期の症状といえば、自律神経の乱れからくる諸症状が多いですし、女性の方は年齢を問わず自律神経失調になる人が多いですよね。田七人参は、それらで悩んでいる人によく薦められます。

でも、そもそも自律神経って何なんでしょう?そして、どのようにして田七人参が自律神経のバランスを整えるのでしょうか?

自律神経って、そもそも何?

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自律神経とは、一言でいえば『無意識の体の反応をコントロールしている神経系』です。

私たちの体はいつも、心臓を動かしたり、目の瞳孔を開いたり閉じたり、血圧を調節したり、暑さや寒さを感じとって汗を出したり、体温を調節したり・・・と、いろいろな調節を意識せずに行っています。これらは体が勝手にやってくれているけれど、それは自律神経のおかげなんです。

自律神経のバランスとは、交感神経と副交感神経のバランスのこと

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自律神経は、交感神経副交感神経の2つからなっています。

交感神経は、体を「闘争状態」にする自律神経です。
たとえば、運動しているときは心臓の鼓動が早くなり、脈拍が上がります。血圧も高まり、発汗が促されます。これらの反応を交感神経が行っています。

副交感神経はその反対に、体を休息させるための自律神経です。心臓がドキドキしたままでは落ち着いて食事ができませんし、眠れません。
副交感神経は、交感神経によって高ぶった体をもとに戻し、食事のときに胃腸を動したり、夜は体温を下げて、眠りにつくことに集中できる状態をつくります。いわばリラックスをつかさどる自律神経です。

交感神経と副交感神経の、どちらのほうが優位になるわけでもなく、ふたつが交互にバランスよく働いているからこそ、私たちは状況に応じて体の状態を適切に保つことができます。

更年期の女性の自律神経はどうなっている?

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さて、更年期障害の症状のうち多くを占めるのが、自律神経の乱れによる諸症状です。

  • 体のほてり、ホットフラッシュ
  • 発汗が多くなる
  • 動悸・息切れ

などなど・・・

これらの更年期障害の症状は、すべて自律神経の乱れによるものですが、もっと具体的に言うなら、「副交感神経よりも交感神経のほうが優位になってしまっている」ために起こる症状です。

先に、交感神経は体を闘争状態にする自律神経だと説明しましたが、交感神経が強く働きすぎている更年期障害は、言い替えれば「体が常に闘争状態になっている」と言えます。

動物にとっては、闘争状態といえば「獲物を狙っているとき」や「敵から逃げているとき」ですよね。

闘争中は、交感神経が血管を収縮させます。なぜなら血管を細くすることで、血圧が高まり、血液を強く送り込むことができるからです。

水が出るホースをイメージしてください。水が血液で、ホースが血管です。ホースを手で押しつぶし、水の通り道を狭めると、水圧が高くなって水が勢いよく飛び出しますよね。

血管が収縮されることによって、血流量が急激に変化し、更年期障害の症状である体のほてりや発汗となって表れているんですね。

つまり、更年期障害の症状が起きる流れをまとめると、下のようになります。

交感神経が優位になる → 血管が収縮する → 更年期障害の諸症状

ここでポイントとなるのが、更年期障害の諸症状の直接の原因は、血管の収縮だという点です。それならば、血管の収縮がやわらげば、症状もやわらぐということになります。

田七人参サポニン・ジンセノサイドの効果効能

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田七人参のジンセノサイドが更年期に良いとされている理由は、ジンセノサイドには強力な血管拡張作用があるからです。

なにせ、おもな更年期の症状のうち、血管拡張することでやわらぐ症状は、

  • ほてり・ホットフラッシュ
  • むくみ
  • 動悸・息切れ
  • 発汗
  • 冷え性
  • 頻尿
  • 疲労感
  • めまい、ふらつき
  • 耳鳴り
  • 物忘れ
  • うつ・意欲の低下

と、更年期障害の代表的な症状は「血管を拡張する」という対処法でほとんどカバーできてしまいます。
田七人参は、まさに更年期障害の”万能薬”という表現がふさわしいですね。

そしてまた、これほどの血管拡張作用をもつ成分は、少なくとも自然食品としては田七人参に含まれるジンセノサイド以上のものはそうそうありません。

加えて、血中コレステロール値や中性脂肪を減らしてくれるため、生活習慣病の予防にも適しています。

田七人参の欠点「女性ホルモン様作用がない」

更年期障害の根本的な原因は、閉経前後の卵巣機能の低下による、女性ホルモンの分泌不足です。

そのため、更年期障害に良いとされている食品成分には、女性ホルモンと似た働きをする「女性ホルモン様作用」をもつものが多くあります。更年期障害の原因部分を解消または補助して、根本的な対策を行おうというアプローチです。

しかし、この原因部分にアタックできる成分が、田七人参には含まれていません。
つまり、更年期障害にとって田七人参は、症状をやわらげ、楽になるための「対症療法」にすぎないと言えます。ただし、とても優れた対症療法ではあります。

更年期障害は、いくつかの症状は5年~10年前後で収まってくると言われています。その間の期間をしのぐためなら、対症療法でも良いかもしれません。生活習慣病予防にも良いですしね。

田七人参の副作用

今のところ、田七人参を摂取したことによる重い健康被害は報告されていません。

田七人参自体は血管を拡張して血流を良くしたり、血圧を下げる方向にはたらきますから、血圧関係のお薬や心臓のお薬を飲んでいる人は避けたほうが無難かもしれません。

更年期を過ぎた後の健康についても考えましょう

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いかがでしたか?
欠点もあるとはいえ、優秀な薬用植物である田七人参。そしてそれに含まれるサポニン・ジンセノサイド。

「女性ホルモンの減少」という根本原因には対処できないけれど、症状をやわらげて更年期を乗り切り、なおかつ生活習慣病の予防を重視する人には、田七人参を強くおすすめします。

ただし、更年期障害の根本原因である女性ホルモンの分泌減少をカバーして、美容や女性としての活力を重視する、あるいは女性特有の健康不安(ホルモンバランスの乱れのせいで、女性がかかりやすくなる病気……たとえば骨粗しょう症など)への対策を重視するなら、他のものが良いでしょう。たとえばマカがおすすめです。

以下の記事で、更年期女性へのマカの効果について紹介しています。

どちらにするかは、生活習慣病対策を重視するか、それとも女性ホルモン対策を重視するか、という視点で選ぶのが良いと思います。

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