プラズマローゲンの認知症への効果効能と副作用を徹底解説。画期的なその作用とは?

認知症の新しい打開策になると考えられている食品成分、プラズマローゲン。新時代の認知症対策とも言われいて、最近よくマスメディアでも特集されるようになりました。

話題になっているけど、「プラズマローゲンって具体的にどんな効果効能があるのか?」とか「認知症の発症メカニズムの、どこにどのようにはたらきかけるのか?」とか、もう少し詳しく知りたいですよね。

でも、インターネットで検索してみても、どうにも表面的なことしか書かれていません。珍しく詳しい情報が書かれてあると思ったら、論文や特許情報ばかり出てきて、それはそれで「専門的すぎてよくわからない」という人も多いのでは?脳に関連する作用なので、難しい横文字もたくさん出てきますしね。

そこで今回は、プラズマローゲンの認知症に対する効果効能を、あくまでも分かりやすく、でも一歩踏み込んで解説したいと思います。

また、なにせ脳の話ですから、副作用のことは特に気になるものですよね。これについてももちろんご紹介。

認知症は、ご本人だけでなく、周囲の人までも不幸の渦に巻き込んでしまう病。それなのにこれまでずっと、有効な打開策が無い袋小路でした。でもプラズマローゲンは、この病の画期的な対策になると期待されています。

プラズマローゲンが、なぜ「画期的」で、「期待されて」いるのか?……これをお読みのあなたに伝われば幸いです。

この記事のここがポイント

  • 認知症の根本原因は「活性酸素」直接の原因は「アミロイドβ」
  • プラズマローゲンの臨床試験結果では、なんと「すべての人に」効果が現れた
  • プラズマローゲンの効果1:脳神経細胞を新しく生み出す「細胞新生」
  • プラズマローゲンの効果2:活性酸素から細胞を守る「抗酸化作用」
  • プラズマローゲンの効果3:炎症物質を抑えて活性酸素の大量発生を防ぐ
  • プラズマローゲンの効果4: アミロイドβを生む酵素のはたらきを阻害する
  • ホタテから抽出したプラズマローゲンは安全。しかも品質面で優れている

認知症の原因とメカニズム


まずは認知症のメカニズムについて簡単に解説します。

認知症といってもいくつか種類があります。レビー小体型とか、脳血管性認知症・・・その中でも一番有名なのが、アルツハイマー型認知症ですね。認知症のうち5割以上はアルツハイマー型で、最も発症例が多くてポピュラーな認知症です。認知症の代名詞と言っていいでしょう。

アルツハイマー型は、症状がある程度進むと、そこから平均して約5年で死亡すると言われています。

認知症の原因物質「活性酸素」と「アミロイドβ」


私たちの体を形作る「細胞」は、工場に似ています。なぜなら、細胞は何らかの生産活動を行うとき、”産業廃棄物”として活性酸素を発生させるからです。

これは脳神経細胞も同じことです。私たちが脳で何らかのことを考えるとき、脳内では有害な活性酸素が発生しています。この文章を頭を使って読んでいる、あなたの脳内でもね。

発生した活性酸素は、その場の細胞を傷つけ、炎症を起こしてしまいます。それでも活性酸素は、細胞の活動のためにはどうしても生み出さざるをえない産業廃棄物ですから、発生するのは仕方がない。気を取り直して、傷ついた細胞を速やかに修復しなければなりません。

現場で細胞の修復にあたっている物質のひとつが「アミロイド前駆物質(APP)」と呼ばれるタンパク質。これが、脳内でタンパク質を切断している「β・γセクレターゼ」という酵素と出会うことで、APPは酵素の作用によってアミロイドβという物質になります。

このアミロイドβが、神経細胞に対して毒性をもつ悪玉物質です。これが蓄積・沈着することで、神経細胞が死滅してしまい、脳神経のネットワークが壊れて「考えるチカラ」を失ってしまいます。

つまり、認知症になるまでに起きている一連の出来事は……

活性酸素が発生 → APPが働く → 酵素の作用でAPPからアミロイドβへ変化

となります。ここで覚えておいて欲しい重要なポイントは以下のふたつ。

  1. 認知症の根本的な原因は「活性酸素による脳神経の炎症」
  2. 脳神経細胞が死滅する直接の原因は「アミロイドβ」

大量の活性酸素を生み出す「ミクログリア」


蓄積したアミロイドβの沈着によって、脳神経細胞が死滅してしまうことは解説しました。

では、このアミロイドβから身を守る方法は、私たちの身体には備わっていないのでしょうか?

細胞の修復をする際には、「脳神経が炎症を起こした!」という連絡が、脳の中枢にあるミクログリアという細胞に伝達されます。

このミクログリアは、いわば脳の免疫担当で、沈着したアミロイドβを食べて除去しようとしてくれる細胞です。脳神経の掃除屋ですね。アミロイドβの沈着から身を守るための、いちおうの防衛手段と言えます。

けれども……「アミロイドβを掃除してくれる」と聞くと、ありがたい話のように聞こえますが、実はこのミクログリア自身が活動する際にも、大量の活性酸素が発生しちゃいます。

大量の活性酸素が発生すると、当然ながら、生み出されるアミロイドβの量も増えてしまいます。ですから、結局ミクログリアでは手に負えなくなってしまうのです。

プラズマローゲンとは

プラズマローゲンは、体内にある「リン脂質」と呼ばれる脂質の一種です。脳のほか、心臓や血液中に存在しています。

リン脂質は、数ある脂質の中でも、体内で特に重要なはたらきを担う脂質です。同じリン脂質の仲間には「コリン(こちらも認知症に良いと言われている)」や「イノシトール(糖尿病に良い成分として有名)」などがあります。

認知症患者では、症状が進行するほど体内のプラズマローゲンの量が減ることがわかっています。でも、なぜ認知症患者はプラズマローゲンが減っているのでしょうか?

その理由は、プラズマローゲンには抗酸化作用があるからです。脳内で活性酸素が発生すると、細胞の身代わりになるような形で活性酸素の攻撃から細胞を守ってくれます。

先述のとおり、認知症患者の脳では、たくさんの活性酸素が発生したために、脳神経細胞が死滅しているわけです。ですから、そのぶんプラズマローゲンを消耗していることになります。

プラズマローゲンの効果

プラズマローゲンの効果を説明する前に、まずは「どれほどの効果があるのか」を説明しましょう。
プラズマローゲンの効果のほどを表すエピソードとして、2014年に行われた大規模な臨床試験の結果を紹介します。このときに凄まじい結果が出ました。

なんと、被験者の全員に効果があったのです。誇張ではなく「全員に」です。

●プラズマローゲンのヒト臨床試験
試験内容:
1日1mgの経口投与で半年間飲用して試験した。簡単な計算や質問を行って点数をつけるMMSE(ミニメンタルステート検査)という試験方法で、飲用開始前と飲用終了後の点数を比較。
試験結果:
約5割に顕著な向上がみられた。残り5割は現状維持だが、症状の進行を食い止めたとみれば、全員に効果があったと言える結果が得られた。

半数が改善したことも、もちろんすごいことなのですが……注目すべきは「残り半数も現状維持ができた」という点。

認知症の進行は早いので、半年間もの期間が経過していれば、ふつうはMMSEの点数は落ちるものと考えられます。それなのに、すべての人が最低でも現状維持ができていたのです。

また、臨床試験で改善したのはMMSEという画一的な評価においてだけではありません。MMSEにおいて改善が見られなかった人も、行動評価において良くなっていたそうです。

行動評価とは、対象者の表情や、会話に用いている単語の数感情の起伏の安定などなど、テストの点数だけでは読み取れない「観察・診察で読み取れる部分」の評価のこと(家族や介護者にとっては、むしろMMSEの点数よりも重要かもしれません)。

MMSEと行動評価、このふたつのうち、両方もしくはどちらかが、プラズマローゲンを飲用した「全員において」改善されていたのです。

さて、具体的には、プラズマローゲンには以下のような効果効能によって認知症を改善すると考えられています。

  1. 脳神経細胞を新しく生み出す「細胞新生」
  2. 自分自身が活性酸素のターゲットになって細胞を守る「抗酸化作用」
  3. 炎症物質を抑えて活性酸素の大量発生を防ぐ
  4. アミロイドβを生む酵素(β・γセクレターゼ)を阻害する

これらについて、ひとつひとつ解説していきます。

プラズマローゲンの効果1:脳神経細胞を新しく生み出す「細胞新生」

プラズマローゲンの数ある効果効能のうち、最も素晴らしい作用は、やはり細胞新生でしょう。プラズマローゲンは新しい脳神経細胞を生み出す作用があると言われています。

脳神経細胞を増やすためには、細胞に与える”特別な栄養”が必要になります。その栄養になる物質が、BDNFと呼ばれるたんぱく質。BDNFが脳神経細胞の生存や成長を促進したり、神経細胞ネットワークを強くしたりします。

これに対してプラズマローゲンは、BDNFを神経細胞内に取り込みやすい環境を整えて、細胞の増加を促してくれるのです。

プラズマローゲンのこの効果がなぜ画期的だと言われているのかというと、今までの認知症対策には無かった“コロンブスの卵”的な発想で対策ができるようになったからです。

というのも、「アミロイドβによって 細胞が死滅してもかまわない。死滅したそばから、新しい細胞がどんどん生まれていけば認知症を阻止・改善できる」……という考え方で認知症対策を行えるようになったわけです。

今まで、世界中の研究者は、ずっとアミロイドβのことを研究していました。アミロイドβの沈着を取り除く方法や、死滅した細胞を甦らせることに苦心していたのです。

でも、プラズマローゲンなら新しい細胞を生み出すことができます。新しく生まれるのなら、わざわざ一度死滅した細胞を復活させたりする必要がないわけです。このことが、プラズマローゲンが新時代の認知症対策だと言われるゆえんです。

プラズマローゲンの効果2:活性酸素から細胞を守る「抗酸化作用」

プラズマローゲンは、死滅した脳細胞を復活させたり、沈着したアミロイドβを除去したりする効果はありません。そのかわり、そもそもの根本原因である活性酸素を無力化してくれる抗酸化作用が備わっています。

プラズマローゲンの抗酸化作用は強力です。 健康な人の脳内では、日頃の脳の活動やミクログリアの活動によって活性酸素が生じたとしても、プラズマローゲンが細胞を守ってくれます。

でも、認知症やうつ病の患者のように、脳神経細胞が慢性的に活性酸素にさらされていると、プラズマローゲンが不足してしまい、細胞を守りきることができなくなります。その結果、アミロイドβが発生して神経細胞が死滅するわけです。

この根本原因たる活性酸素に対処することが、認知症対策の基本的な考え方になります。

プラズマローゲンの効果3:炎症物質を抑えてミクログリアを過剰に働かせないようにする

ミクログリアの説明の項で述べましたが、ミクログリアは脳の免疫担当細胞です。炎症が起きるとアミロイドβが沈着してしまうかもしれないので、それを避けるためにミクログリアが出動して、アミロイドβを食べてお掃除してくれます。

しかし、ミクログリアが良かれと思ってやっていることが、実は大量の活性酸素を発生させて、さらなる炎症を引き起こすのです。

もちろんこの脳の免疫反応は、人体にとっては必要なもの。健康な人にとってはね。でも、認知症患者さんの脳内では、慢性的に炎症が起こっており、ミクログリアが頻繁に仕事をしてしまっています。そしてさらなる活性酸素を生み出し、それがさらなる炎症を生み出し……認知症の場合は、まずはそんな悪循環から抜け出す必要があります。

プラズマローゲンは、炎症物質の発生を抑制してくれることがわかっています。炎症物質の発生がミクログリアを活性化するので、間接的にミクログリアの活動が抑えられ、活性酸素の発生を大きく抑えることになります。

「活性酸素がいつまでも大量に発生する仕組み(ミクログリアの活動)」をどうにかしなければ、認知症の悪循環から抜け出すことはできません。プラズマローゲンなら、この悪循環を断ち切ることができるのです。

プラズマローゲンの効果4: アミロイドβを生む酵素(β・γセクレターゼ)を阻害する

アミロイドβは、もともとは細胞修復などの仕事を行うAPP(アミロイド前駆物質)が酵素の作用によって変質したものですが、プラズマローゲンはこの酵素のはたらきを抑制して、アミロイドβの蓄積を防ぎます。

認知症の直接の原因物質・アミロイドβの蓄積と沈着を防ぐことができるわけです。アミロイドβが蓄積しなければ、神経細胞の死滅も起こらないし、ミクログリアが活動する必要もないので活性酸素も抑えられる。こうして、認知症の悪循環から抜け出すことができます。

プラズマローゲンの効果まとめ

つまり、プラズマローゲンは……

  • 抗酸化作用で活性酸素を無力化する
  • 炎症物質を抑制して活性酸素の大量発生を抑える
  • アミロイドβの蓄積を防ぎ、神経細胞の死滅を起こさせない

という全方向からの包括的な認知症対策になり、その上さらに

  • 脳神経細胞を増やす

という作用を備えているのです。

プラズマローゲンを多く含む食品と、摂取量の目安

このように強力な認知症対策となるプラズマローゲンですが、食事によってこれを摂取することは、果たして可能でしょうか。

プラズマローゲンは、すべての動物の体内に含まれます。比較的多く含まれる食品は、鶏の胸肉ホタテホヤといったものですが、いずれにしろ微量しか含まれておらず、しかもプラズマローゲンは熱によって構造が崩れてしまいやすいので、調理方法も限定されます。

したがって、食事によってまとまった量を摂取するのは難しいでしょう。

摂取量の目安も、臨床試験では被験者は1000μg(=1mg)を半年間摂取していました。ですので、効果を期待するならば1000μgが目安になると思いますが、やはり食事で摂れる量ではありません。何らかのサプリメントで摂取するしか方法は無いと思われます。

プラズマローゲンの副作用

なにせ脳に作用する成分なのですから、副作用については気になるところですよね。

副作用は無いが、アレルギーがある人は注意

プラズマローゲンに副作用の報告はありません。ただ、ホタテや鶏肉にアレルギーがある人は注意してください。

というのも、市場に出回っているプラズマローゲンのサプリメントは、成分をホタテから抽出しているものと、鶏肉から抽出しているものがあるからです。

上述の食品にアレルギーがある方は、購入するサプリメントがどの原料から抽出しているのかをしっかり確認してから購入しましょう。

ホタテ貝毒にまつわる誤解

プラズマローゲンの原料については、「ホタテには貝毒があるので、鶏肉由来のもののほうが安全」などと記載しているインターネットメディアがあったり、驚くべきことにプラズマローゲンサプリを販売している会社ですら、公式の販売用ウェブサイト内でそのような宣伝をしている会社もあったりします。

この情報はデマです。
ホタテそのものには、ウロの部分に貝毒があるので調理する際には注意が必要ですが、それはあくまでも食材としてホタテを調理する場合の話。

ホタテから成分を抽出したプラズマローゲンには、貝毒は含まれません。当たり前のことですが。

このことから、ホタテ由来のものと鶏肉由来のものは、安全性に優劣はありません。ただし、プラズマローゲンの品質には優劣があります。

ホタテから抽出したプラズマローゲンは、DHAEPAが豊富に含まれていて、しかもプラズマローゲンと結合している特殊な構造をしているので吸収率が高くなります。ですから、プラズマローゲンの品質としては、実はホタテ由来のプラズマローゲンのほうが優れているのです。

いかがでしたか?

認知症に対して、これほど優れた効果効能があるプラズマローゲン。この成分のおかげで、認知症治療にも大きな突破口が開かれつつあります。私などは「プラズマローゲンがある時代に生きることができて、本当に運が良かった」とすら思ってしまいました。

ご高齢者ご本人はもちろんのこと、介護をされるご家族、ご親戚、介護士さんなど、周囲のさまざまな人びとに影響を与えるのが認知症です。今回のこの記事が、どうかご高齢者の方とその周囲の人びとの幸福にお役立ていただけたなら幸いです。

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