Ⅱ型コラーゲンって本当に効果あるの?関節痛に悩む人へⅡ型よりもⅠ型コラーゲンをおすすめする3つの理由

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腰痛関節痛に良い食品成分ってたくさんありますよね。古くはグルコサミンやコンドロイチン、ヒアルロン酸が有名ですし、他にもN-アセチルグルコサミンとか、プロテオグリカンとか、Ⅱ型コラーゲンとか。百花繚乱の風情です。

この中で最も優れた効果を発揮するのは、間違いなくプロテオグリカン。その理由は主に3つあります。

  • “軟骨成分そのもの”であるため、体内で非常に効率良く活用される
  • 軟骨内で最も重要なはたらきを担う成分である
  • 経口摂取でも分解されずに、そのままの状態で吸収される

<プロテオグリカンについて詳しく知りたい人は、こちらをご覧ください>

そのプロテオグリカンと同じく「軟骨成分そのもの」であるという理由で、よくⅡ型コラーゲンという成分が配合されているサプリを見かけます。プロテオグリカンやグルコサミンと一緒に配合されているパターンも非常に多いですね。

はたしてこのⅡ型コラーゲンとやらは、腰痛や関節痛に効くのでしょうか?
結論としては、実は『効きません』……その理由をご説明します。

Ⅱ型コラーゲンとは?

コラーゲンには30を超える種類があり、それぞれⅠ型・Ⅱ型・Ⅲ型…などと呼ばれています。

一般的に「コラーゲン」といえば、Ⅰ型コラーゲンのことを指します。これは骨や皮膚などに含まれる成分で、美容にも良いと言われているコラーゲンです。軟骨成分には含まれていません。

一方、Ⅱ型コラーゲンは、ふつうのコラーゲン(Ⅰ型)とは違い、体内ではほぼ軟骨にだけ含まれている(眼球にもわずかに含まれます)、ちょっと特殊なコラーゲンです。軟骨成分のひとつとして、水分やプロテオグリカンとともに軟骨内で関節をサポートしています。

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図のように、Ⅱ型コラーゲンは軟骨内で多くの割合を占めています。軟骨ではプロテオグリカンよりもたくさん含まれていますね。驚いた人もいるのでは?

Ⅱ型コラーゲンの効果。Ⅱ型コラーゲンは関節軟骨でどのように作用する?

Ⅱ型コラーゲンは、軟骨内でとても重要なはたらきをしています。
たとえば、関節の曲げ伸ばし時に動きをなめらかにしたり、多少の弾力性と保湿力があるため、衝撃を吸収するクッションとしても役に立ちます。

軟骨内のⅡ型コラーゲンを増やすことができれば、関節のなめらかさや弾力性が向上して、関節痛の症状がやわらぎます。

ただしこれらは、あくまでも関節軟骨に存在しているⅡ型コラーゲンのはたらきです。
問題は、Ⅱ型コラーゲンを食べても、関節軟骨のⅡ型コラーゲンはほとんど増えないことにあります。

Ⅱ型コラーゲンが関節痛に効かない理由

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実は、Ⅱ型コラーゲンを食べても、それが直接軟骨のⅡ型コラーゲンになるわけではありません。

バラバラに分解されて吸収されるので、Ⅱ型コラーゲンとしては吸収できない

コラーゲンはたんぱく質の一種です。たんぱく質は、体内にそのままの状態で取り込まれるわけではありません。分子量が大きすぎるので、吸収するためには「アミノ酸」や「ペプチド」という小さな単位まで分解しなければなりません。

つまり、コラーゲンが腸から体内へ吸収された時点で、もはやⅠ型もⅡ型も区別がつかない、単なるアミノ酸になっているわけです。

私たちの体は、アミノ酸やコラーゲンペプチドが体内へ吸収されると、それらを使ってⅠ型なりⅡ型なりといった各種コラーゲンを再生産します。一度バラバラにしたものを組み立てるようなイメージです。

Ⅱ型コラーゲンを食べるとⅡ型コラーゲンが再生産されやすい・・・・・・というわけでもなく、私たちの体は、いま体内で必要としている型のコラーゲンを、必要なだけ生産しようとします。私たちが食べたⅡ型コラーゲンが、体内ではⅠ型コラーゲンになってしまう、ということも当然あります。

加えて言えば、Ⅰ型コラーゲンは骨や皮膚など全身で使用されるのに対して、Ⅱ型コラーゲンはほぼ軟骨でしか使われないコラーゲン。Ⅰ型コラーゲンのほうが圧倒的に必要とされているので、結局Ⅰ型コラーゲンとして体内合成される確率が高いのです。

あえてわざわざⅡ型コラーゲンを摂取しても、あんまり意味がないんですね。

どうせ、Ⅱ型だろうとⅠ型だろうとバラバラにされて、何型かのコラーゲンへと再合成されるので、はじめから型などにはこだわらず、とにかくたくさんコラーゲンを食べれば良いわけです。

つまり、コラーゲンを摂る上で気にしないといけないのは、『型』ではなく、『摂取量』です。

Ⅰ型コラーゲンを摂取するほうが、Ⅱ型コラーゲンよりも関節痛に良い理由

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関節痛には、Ⅰ型コラーゲンがおすすめです。その理由は3つあります。

  • Ⅰ型は骨を丈夫にする。骨が丈夫だと変形性関節症になりにくい
  • Ⅰ型のほうが安い(どうせⅡ型と同じコラーゲンなら、安いにこしたことはない)
  • プロテオグリカンを十分摂取していれば、Ⅱ型コラーゲンは体内で作り出せる

変形性関節症を予防するためには、Ⅰ型コラーゲンで骨を丈夫にすることが大切

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変形性関節症の原因の一つに「骨が弱くなっている」というものがあります。

骨粗しょう症などにより骨の丈夫さが損なわれると、折れたり欠けたり変形しやすくなってしまいます。軟骨周辺の骨の形状がいびつになってしまえば、軟骨がすり減りやすくなります。

以前、骨粗しょう症と変形性関節症の関係についての記事(←クリックで開きます)を書きました。この記事はとりわけ更年期の女性の読者のために書いた記事です。しかし、もっとご高齢の方や男性の方であっても、変形性関節症の予防や治療を目指す人にとっては、骨を守ることが大切なことであるのは同じ。

そして、Ⅰ型コラーゲンは、骨を丈夫にしてくれます。

もちろんⅠ型もⅡ型と同じく、バラバラにされて吸収されるんですが、Ⅰ型は体内でたくさんの量が必要になるため、摂取したコラーゲンはたいていⅠ型コラーゲンとして合成され、利用されます。そのため、Ⅰ型コラーゲンを積極的に摂取することは、骨の丈夫さを維持することにつながります。

I型コラーゲンはⅡ型よりも原価がはるかに安く、たくさん摂りやすい。食事からも摂取しやすい

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Ⅱ型コラーゲンというのは、Ⅰ型コラーゲンと比較すると高価な成分です。それゆえに、サプリメントで摂ろうにも、充分な量のⅡ型コラーゲンを配合している健康食品は、私の知る限りではありません。新奇性がある成分なので、オマケ程度の量が配合されている商品はよく見かけますが、原価が高いぶん、たくさん入れようとすると販売価格を高く設定しなければならなくなり、売れにくい商品になってしまうので、どこの健康食品会社もそんな商品を開発しません。

一方でⅠ型コラーゲンは、Ⅱ型と比べてとても安い。量を摂るならⅠ型のほうが向いています。さらにⅠ型コラーゲンが含まれる食材もたくさんあるので、食事からも摂りやすいです。

プロテオグリカンさえ充分摂れていれば、Ⅱ型コラーゲンは体内で作り出すことができる

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何より、プロテオグリカンさえしっかり摂取していれば、軟骨内のⅡ型コラーゲンのことは気にしなくていいのです。なぜなら、プロテオグリカンにはⅡ型コラーゲンも含めた軟骨成分の生成を促す作用があるからです。

プロテオグリカンは、軟骨に良いさまざまな作用がある上に、軟骨細胞を刺激してⅡ型コラーゲンの生成も促進するという一石二鳥の成分です。プロテオグリカンとⅡ型コラーゲンを両方配合しているサプリメントもありますが、正直言って、プロテオグリカンが入っているならⅡ型コラーゲンは要りません。

プロテオグリカンのはたらきについては、こちらに詳しく書いています。

まあ、そのサプリに入っているⅡ型コラーゲンが体内でⅠ型コラーゲンになるなら、骨を丈夫にしてくれるという点では効果があると言えなくもないですが。それなら最初から原価が安いⅠ型コラーゲンを配合しておけよ。そして販売価格をもっと安くしろよ。って思っちゃいます。

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