コロソリン酸がインスリン抵抗性を改善。肥満型糖尿病の救世主、期待の天然成分とは?

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さまざまな重大な合併症をともなう、恐ろしい病気「糖尿病」
やせている人でも太っている人でも罹患してしまう病気ですが、とりわけ太っている人は糖尿や生活習慣病のリスクが高いといわれています。いわゆる「メタボリックシンドローム」です。

メタボによって発生する問題は多岐にわたるのですが、その中でも「肥満によってインスリンが効きにくくなること(インスリン抵抗性)」が糖尿病へとつながってしまう重大な問題。そもそもメタボリックシンドロームは、昔は「インスリン抵抗性症候群」と呼ばれていたのです。

今回は、このインスリン抵抗性を改善すると期待されている「コロソリン酸」をご紹介します。

この記事のここがポイント

  • インスリンは体内でどのような働きをしている?
  • 糖の運び屋(グルコーストランスポーター)とは
  • メタボはやばい。遊離脂肪酸のせいでインスリンが効きにくくなる
  • インスリンが分泌されすぎても問題が……
  • コロソリン酸が運び屋を活性化
  • コロソリン酸を多く含む植物「バナバ」「ゴーヤ」
  • コロソリン酸摂取の注意点と副作用

そもそも、インスリンは体内でどのように働く?

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糖尿病や血糖値に関心がある方なら、みなさんご存知「インスリン」。食事をとると血糖値が上がりますが、この上がった血糖値を下げる唯一のホルモンがインスリンです。

では、インスリンが血糖値を下げるとき、体内では何が起こっているのでしょうか?

インスリンは、血糖の害から血管を守るための仕組み

食事によってとった糖質は、消化吸収の過程でブドウ糖に分解されます。その後ブドウ糖は、エネルギーを生産するための原料として、血液によって全身へと運ばれた後、細胞に取り込まれます。細胞内には、ミトコンドリアと呼ばれる小さな器官があり、そこで生命活動に必要なエネルギーが生産されています。

こうして見ると、糖質やブドウ糖は、体を動かすエネルギーとして使われる重要な栄養であることがわかりますね。しかし一方で、血糖値が上がりすぎることは、とても危険なことでもあるのです。

なぜなら、たくさんの糖質をとったために血液中にブドウ糖が増えすぎると、ブドウ糖によって血管が傷つけられてしまい、体への重大な悪影響が発生してしまうからです。

そのため、わたしたちの体には、血液中のブドウ糖(血糖)が上がり過ぎないように、一定範囲内に保つための仕組みがそなわっています。それがインスリンです。

インスリンは、「糖の運び屋」を呼ぶための合図にすぎない

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血液中のブドウ糖(血糖)が増えると、すい臓のランゲルハンス島という組織にある「β細胞」がこれを察知して、インスリンを分泌します。

分泌されたインスリンは、細胞にある「インスリン受容体」と結合します。その結合が”合図”となって、ブドウ糖の運び屋(グルコーストランスポーター:GLUT-4)が細胞の表面に現れ、ブドウ糖を取り込み、細胞内へと運搬します。

細胞へ取り込むことによって血液中のブドウ糖は減るわけです。これがインスリン分泌から血糖値が低下するまでに体内で起こる現象です。

ここで重要なのは、インスリンはあくまで細胞への取り込みを開始するときの合図として使われているだけだ、ということ。これをお読みの方の中には「インスリンが血糖値を下げる」と思っている方もいるかもしれませんが、血糖値が下がる直接的な要因は、「運び屋」の働きのおかげなのです。
「運び屋」が血液から細胞の中へ糖を運び入れる(取り込ませる)から、血液中から糖が減り、血糖値が下がる……これを覚えておいてください。

メタボによってインスリンが効きにくくなる

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糖尿病は、肥満の人もやせている人もなる病気ですが、糖尿病が強く疑われる人に肥満の人が多いこともまた事実。これはかつて厚生省が行った糖尿病実態調査によって明らかになっています。

なぜ糖尿は肥満の人が多いのかというと、肥満が原因となって先述の”運び屋”が働かなくなってしまい、その結果、細胞への糖の取り込みがうまくいかなくなるからなんです。

脂肪がインスリンを効きにくくする

メタボの象徴ともいえる「脂肪」。肥満状態の人の脂肪の、それもとりわけ「内臓脂肪」が多いと、遊離脂肪酸の血中濃度が高くなりがちになります。

そしてこの遊離脂肪酸が原因となって、インスリン受容体の感受性が悪くなり、インスリンからの”合図”が伝達されにくくなります。その結果「運び屋」がはたらかなくなってしまうため、細胞への糖の取り込みが妨げられ、高血糖になります。

これはつまり、肥満のせいで内臓脂肪が多くなっている人は、インスリンが効きにくい状態になっているということです。このインスリンの効きにくさのことをインスリン抵抗性といいます。

インスリンが効きにくいということは、例えるならば玄関の呼び鈴が壊れてしまったようなもの。細胞の扉の前にたどり着いたインスリンは、扉についている呼び鈴を鳴らします。すると、中にいる「運び屋」が扉から出てきて、外(血液中)にあるブドウ糖を細胞の中へと運び入れる手はずになっています。でも、呼び鈴が壊れてしまえば、運び屋は出てきません。運び屋が出てこないかぎり、ブドウ糖を細胞内へと運び入れることもできません。
この、呼び鈴が壊れてしまう現象が、インスリン抵抗性です。

糖尿病対策といえばインスリンの分泌促進のほうに注目しがちですが、たとえインスリンが十分に分泌されていても、呼び鈴が壊れていて運び屋が働いてくれないならば、細胞への糖の取り込みはできませんし、細胞へ取り込まれない限りは血糖値は下がりません。

インスリン抵抗性の改善が、メタボ脱出の早道

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メタボによってインスリンが効きにくくなればなるほど、すい臓はもっとたくさんのインスリンを分泌しようとします。

たくさんのインスリンを分泌している状態が続くと、やがてすい臓が疲弊して、インスリンを充分に分泌できなくなってきます。そうなると血糖値を一定範囲に抑えきれなくなってしまう、いわゆる糖尿病という状態です。とはいえ、インスリン抵抗性をカバーできるだけの量のインスリンが分泌されている限りは、糖尿病にはなりません。

しかし、インスリンは血糖値を調節する役目のほかにも、さまざまな役割を担っているホルモンですから、血中のインスリン濃度のバランスが崩れることにより、血糖値以外にもさまざまな問題が生じます。

たとえば、中性脂肪が増加したり、高血圧になったり、肥満が亢進し、血液がドロドロになって動脈硬化リスクが高まる、などなど……
これは、いわゆるメタボですよね。そう、実はインスリンは、肥満やメタボを亢進するホルモンでもあるのです。インスリンがたくさん分泌されると、メタボに拍車がかかる仕組みになっているわけです。

メタボが進むと、インスリンがさらに効きにくくなるので、もっと多くのインスリンを分泌しなければならなくなります。そのせいでさらに肥満が進み……という、メタボスパイラルともいうべき状況に陥ります。放置しておけば、すい臓が悲鳴を上げるのも時間の問題です。

だから、メタボを脱出するためにも、インスリン抵抗性を改善し、インスリンがちゃんと効くようにすることが先決なのです。

インスリン抵抗性を改善するコロソリン酸

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さて、肥満によってインスリンが効きにくくなっている方は、まずは運動をして痩せることが大切です。それと並行して、ある種の植物の中にはインスリンを効きやすくしてくれる効果がある「コロソリン酸」という成分が含まれているので、それを活用するのもおすすめです。

コロソリン酸は、バナバやゴーヤといった植物に含まれている天然成分で、インスリンと似た作用をもつ(運び屋=グルコーストランスポーターを活性化する)ことから「植物インスリン」とも呼ばれています。

コロソリン酸には血糖値を低下させる作用があるということは、近年の研究でも解明されており、国内でも糖尿病患者への臨床試験が行われています。

コロソリン酸は運び屋を活性化する

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報告によれば、

「コロソリン酸投与後4時間に血糖低下作用を示し、インスリン値の低下も見られた。また、筋肉GLUT4タンパク発現の増加が見られた。(マウス実験)

とあります。ここで注目すべきなのは、インスリン値が低下しているにもかかわらず、運び屋(GLUT4タンパク)が活性化しているという点です。

先述したように、インスリン値が上昇するとさまざまな問題を生じますが、コロソリン酸は、働きにくくなったインスリンの替わりに運び屋を活性化し、インスリン値の上昇を招くことなく細胞への糖の取り込みを促進して血糖値を下げていることがわかります。

具体的には、コロソリン酸は、どうやらAMPキナーゼと呼ばれる酵素を活性化しているようです。このAMPキナーゼはインスリンとは異なる経路で運び屋を働かせることができるため、コロソリン酸はインスリンの分泌能力やインスリン抵抗性にかかわらず、糖の取り込みを促し、血糖値を下げることができると考えられています。

「合図」が送れなくなくなったインスリンの替わりに、運び屋を引っ張り出して働かせているようなイメージです。”運び屋”は活発に働いていて血糖値が抑えられ、インスリンを分泌させる必要がないためインスリン値は下がり、インスリン値が下がれば肥満を改善しやすなります。

肥満が改善されれば、インスリン抵抗性も改善され、インスリンが正常に働くようになります。

インスリンのようにふるまうが、インスリンではない

インスリンには、血糖の調整以外にも脂肪の合成を促進したり、脂肪の分解を抑えたりする役割もあり、インスリンがたくさん分泌されていれば良いというものでもありません。その点でコロソリン酸は、インスリンとは違い”運び屋”を活性化させるだけなので、血糖値が低下しても脂肪が増えたりはしません。

コロソリン酸の抗疲労効果

コロソリン酸は、細胞へのブドウ糖の取り込みを活性化するため、結果的にエネルギーの生産を助けることになります。そのため、疲労に対しても有効にはたらくと考えられています。とりわけ筋肉疲労を軽減することが期待できます。

コロソリン酸が多く含まれる植物「バナバ」「ゴーヤ」

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コロソリン酸は、バナバゴーヤといった植物に多く含まれます。特にバナバはコロソリン酸が非常に多く含まれることで有名です。

バナバってなんだ?

バナバ

バナバはミソハギ科サルスベリ属の落葉高木で、日本では「オオバナサルスベリ」と呼ばれます。バナバを用いたバナバ茶は「女王でも手の届かないお茶」などと言われていますが、しかし実際はインド、東南アジアでは結構よく目にすることができる植物だったりします。

日本ではなじみが薄いですが、インドや東南アジアでは、1500年以上も前から健康のために煎じて飲む、食用とするなど古くから用いられてきました。フィリピンでは薬用植物に指定されています。

沖縄の健康パワーの源・ゴーヤ

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ウリ科の植物で、苦瓜ともいいます。こちらも東南アジアでは薬用野菜として古くから親しまれてきました。独特の苦味が特徴的で、健康長寿な人が多いといわれる沖縄県でよく食べられますね。実際沖縄県民はガンや糖尿病による死亡率が低いことがわかっています。

季節によってはスーパーなどでも売られているので、比較的なじみのある野菜といえるでしょう。

ゴーヤは、バナバほどではありませんがコロソリン酸がたくさん含まれているほか、チャランチンやモモルデシンといったサポニン類や脂質代謝を助ける共役リノレン酸、インスリンに似た構造をもつポリペプチド-P、毛細血管を頑丈にするククルビタシンなど、高血糖や肥満に対して有効に働く成分については枚挙にいとまがないほど含まれており、糖尿病対策のための総合栄養食とも言える野菜です。

コロソリン酸摂取の注意点

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コロソリン酸は糖の悩みをもつ者にとって非常に頼もしい成分ですが、摂取にあたっては注意点があります。

バナバ茶やゴーヤ茶などのお茶ではコロソリン酸は摂れない

バナバは、少なくとも日本では食用として出回ってはいません。日本ではバナバはお茶やサプリメントとして入手することができます。

一方ゴーヤですが、こちらは野菜として出回っているので、日本でもスーパーなどで割と手軽に入手することができます。季節ものですので食材としては入手できない時期もありますが、お茶やサプリメントなら一年中入手できます。

ただし、コロソリン酸は熱に弱いうえ、水に溶けないため、バナバ茶やゴーヤ茶などのお茶でコロソリン酸を摂取することはほぼできません。コロソリン酸目的ならば、サプリメントで摂取するのが良いでしょう。

コロソリン酸の副作用

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「植物インスリン」と呼ばれる天然成分だけあって、これといった副作用らしきものはなく、健康被害の報告もありません。また、これによって低血糖に陥るといったこともありません。ただし、以下の人は注意をすべきです。

妊婦や授乳中の人は注意

妊婦や授乳中の人が飲んで安全かどうかはまだわかっていません。危険であるという報告もありませんが、念のため避けておきましょう。

降圧薬を服用している人は注意

コロソリン酸は血圧を下げる効果もあり、これはこれで動脈硬化などのリスクが高いメタボな人にとっては良いことでもあるんですが、過剰に摂りすぎないように注意しましょう。また降圧薬を服用している人はお医者様に相談してください。

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