更年期のうちにやっておきたいボケ予防・認知症予防。認知症にならないようにするための方法とは?

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「最近もの忘れが激しい、トシもトシだし、このままボケてしまうのかしら……」
そんなふうに不安になっていませんか?

更年期障害の症状のひとつに「もの忘れ・記憶力低下」がありますよね。
実は、更年期のもの忘れとボケ(認知症・痴呆)はメカニズム的には別物です。
もの忘れが激しくなったからといって、それが認知症に直接繋がるわけではありません。

しかし、更年期にもの忘れの症状が激しくあらわれていた人ほど、その後の認知症リスクが高まります。それは、更年期のもの忘れと認知症には、“ある共通点”があるためです。

逆に言えば、更年期のもの忘れの原因をしっかりケアできるかどうかが、将来の認知症を防ぐカギになります。

というわけで今回は、更年期のもの忘れに悩んでいる人や、将来の認知症への危機感を感じている人に向けて、更年期のうちにやっておきたい認知症予防方法をご紹介します。

更年期のもの忘れと認知症。その違いと、共通点は?

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「最近物忘れが激しいけど、もしかして認知症……?」

と不安になった経験、ありませんか?更年期に入って急に記憶力がなくなったり、もの忘れが増えたりすると、焦っちゃいますよね。

でも、そもそも「もの忘れ」と「認知症」は、根本的なメカニズムが異なっています。

更年期のもの忘れと認知症の、症状の違い

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更年期のもの忘れと認知症は、同じ記憶障害でも、症状が少し異なります。

更年期のもの忘れは、他の人に後から指摘されれば「そういえば、そうだった!」と思い出すことができます。

認知症の初期症状の場合は、忘れていること自体を覚えていません。だから、他人から指摘されると「えっ、何のこと?」「そうだったっけ……?」という具合で、「思い出す」ことができないんです。忘れていること自体がわからなくなるので、キョトンとしてしまうんですね。

あなたの記憶力低下は、更年期のもの忘れと認知症、どちらでしょうか?
もし「認知症の初期症状かも…」という場合は、以下の記事を参考にしてください。

認知症に良い食品成分は?クルクミン&イミダペプチドの認知症予防・改善効果
認知症……痴呆、あるいは俗に「ボケ」とも言いますね。とりわけ閉経後の女性はそのリスクが高くなります。 物忘れから始まり、最終的...

上の記事は、認知症の中でも最も多い「アルツハイマー型認知症」について書いた記事です。
認知症の詳しいメカニズムと、認知症を予防・改善するのに有効な食品として「クルクミン」と「イミダゾールジペプチド」を紹介しています。

更年期のもの忘れと認知症の、原因の違い

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更年期のもの忘れと認知症の、症状の違いはわかりました。
では、原因についてはどんな違いがあるでしょうか?

更年期のもの忘れや記憶力の低下は、女性ホルモン・エストロゲンの分泌量が閉経前後に急激に減少することが原因です。ほかの更年期障害と同じですね。

もともと、エストロゲンには神経細胞と神経伝達物質のはたらきを活性化させる効果があり、記憶力や計算力などの基本的な認知機能をサポートしてくれていました。

しかし、閉経前後の更年期で、卵巣機能の低下によってエストロゲンが分泌されなくなります。

そして、エストロゲンのサポートを失ったために、それまでと比べて記憶力が急激に低下してしまいます。これが、更年期のもの忘れです。

一方、認知症の原因は、神経細胞に対する毒性をもつ「アミロイドβ」という物質がたくさん発生してしまい、その攻撃によって神経細胞が死に、脳が萎縮することが原因だと言われています。

そして、エストロゲンにはアミロイドβの発生を防いだり、神経細胞を保護するはたらきもあります。

すなわち、神経細胞を守ってくれたエストロゲンという鎧を失ってしまうので、閉経後は脳の神経細胞が死にやすくなり、認知症になりやすくなります。女性のほうが認知症になりやすいのもこのためです。

つまり、更年期のもの忘れと認知症には、原因に関しては以下の違いがあります。

・更年期のもの忘れの原因:神経細胞のはたらきが悪くなるため
・認知症の原因:神経細胞が死に、脳が萎縮するため

なお、認知症のために死んでしまった神経細胞は、二度と元には戻りません。
ですから、更年期の記憶力低下は回復が可能であるのに対して、認知症は進行を抑えることはできても、元に戻ることはありません。

更年期のもの忘れと認知症の共通点=女性ホルモン・エストロゲン

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前述のように、更年期のもの忘れも、認知症も、どちらも閉経前後の女性の体に起きる、エストロゲン分泌減少の影響を受けています。

・更年期のもの忘れ:エストロゲンの分泌量低下によって、神経細胞のはたらきがサポートされなくなる
・認知症:エストロゲンの分泌量低下によって、神経細胞が保護されなくなる

もの忘れ症状をはじめとした更年期障害への対策として、分泌量が低下してしまったエストロゲンを食品などから補うという方法があることは存知の方も多いですが、エストロゲンを食品で補うことは、その後の認知症対策にもなります。

更年期のもの忘れが多い人ほど、将来の認知症リスクが高くなる

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更年期に現れる症状、いわゆる更年期障害は、どのような症状があらわれるかは人それぞれ違いがあります。中にはまったく何の症状もあらわれないという人もいますし、記憶力の低下はみられないという人もいます。

そんな中でも、更年期に入って記憶力の低下症状があらわれた人は、エストロゲン減少の脳神経細胞への影響が大きくあらわれやすいタイプの人だと言えます。すなわち、更年期の記憶力低下が激しい人ほど、認知症になりやすいタイプの人だということです。

ですから、もしもいま更年期のもの忘れに悩んでいるなら、将来の認知症を予防するためにも、エストロゲンの分泌不足への対策をしなければなりません。

「更年期のもの忘れと認知症は無関係」という説がある?

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ちょっと余談になりますが。
インターネットで情報収集する際に気を付けていただきたいことがあります。

実は、米国ロチェスター大学医療センターの研究発表の中に、「更年期にもの忘れ症状が現れることと、後に認知症になることとは無関係である」と解釈できる部分があります。

そして、そのような解釈を根拠にして「更年期のもの忘れと認知症は無関係である」という説を掲載しているインターネットメディアが存在します。

しかし、その解釈は、研究の趣旨ではない文言を論文中から抜き出した曲解に近い独自解釈です。
そもそも、同じくロチェスター大の研究により、このふたつは大いに関係していることがわかっています。

更年期の認知症対策は、なるべく早く取り組まなければならない

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さて、更年期のもの忘れも、認知症も、閉経後にエストロゲンの分泌が無くなってしまうことが根本的な原因でしたね。

ですから、更年期のうちに認知症対策を行うなら、一番良い方法はエストロゲンを補うこと。

医療先進国フィンランドでは、東フィンランド大学で1万人近い女性を対象とした大規模な研究が行われました(※1)。これにより、女性が更年期の早い段階で、エストロゲンや女性ホルモンに関する療法を継続的に行った場合、認知症のリスクが半減することが疫学的に証明されています。

さて、ではエストロゲン対策としてどのような方法がおすすめできるかというと……。

医療分野ではホルモン補充療法があります。これは女性ホルモンそのものの錠剤を摂取するという療法で、効き目は抜群なのですが、副作用がけっこう重いです(乳がんや子宮がんなど…)。

でも、あくまでも認知症の予防が目的ですので、あまり重いリスクはとりたくないですよね。予防のために副作用の被害を受けてしまっては本末転倒です。

予防のためなら、できるだけ副作用の心配が無い方法を試したいものです。まずはサプリメントなどによって「女性ホルモンそのものではないけど、女性ホルモンのような作用」をもつ自然の食品成分を摂取するのが良いでしょう。

更年期のエストロゲン不足を補う食品3選

更年期から閉経後のエストロゲン不足を補う食品として、有名なものはいくつかあります。その中でも特にその作用が優れているものを3つご紹介します。

大豆イソフラボンは定番だけど……

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女性ホルモンのような作用(女性ホルモン様作用)がある物質としては、昔から定番なのが、大豆イソフラボンですね。

強力で、優れた食品ではあるのですが、イソフラボンは物質としての構造がエストロゲンと非常によく似ていて、飲みすぎた場合に副作用の可能性が示されているという欠点があります。

また、体内への吸収率があまり良くありません。市場に出回っているサプリメントなどの中には、吸収率を高める工夫をしている商品もありますが、そうではない商品もあり、商品選びが難しいのも難点。

定番中の定番なので最初にご紹介しましたが、個人的にはあまりおすすめしていません。

マカの女性ホルモン対策効果が強力!アンチエイジング効果も。

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非常に強力かつ安全な更年期対策・認知症予防食品として、いま最も注目を浴びているのがマカです。

マカには、女性ホルモン様作用がある成分としてベンジルグルコシノレートという物質が含まれていて、しかも低下してきたホルモン分泌力を強化してくれるアルギニンも含まれています。

「女性ホルモン様作用」と「分泌サポート」という、女性ホルモンに対してダブルの効果が期待できる点が、マカが強力に働きかける理由です。

しかもアルギニンには女性ホルモン分泌強化に加えて、抗酸化作用があるわけですから、実は女性にうれしいアンチエイジング効果も盛りだくさん。お肌のシワ・たるみや老化対策にももってこいです。

昔は、マカといえば男性の性機能を高める効果が注目されていたので、男性向けの商品ばかりでしたが、最近は更年期女性の対策食品として流行の兆しを見せており、女性向けに考案された商品も多数発売されています。

田七人参のジンセノサイドは、女性ホルモンや生活習慣病予防など、効果が多彩!

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田七人参(でんしちにんじん)は、有名な高麗人参と同じく、薬草としてはたらく人参の一種で、漢方の生薬として活用されています。

田七人参の主な有効成分は、ジンセノサイドというサポニンです。こちらも強力なエストロゲン様作用があります。また、抗酸化作用や生活習慣病(特に糖尿)の予防効果など多彩な効果が期待でき、幅広く活躍してくれる成分です。

ジンセノサイドは高麗人参にも含まれていますが、田七人参に含まれるジンセノサイドは高麗人参の3倍を超えると言われており、近年注目されています。

認知症予防は、なるべく早く取り組むことが肝心

冒頭でもお伝えした通り、今回のこの記事は、あくまでも「更年期のうちにやっておきたい認知症対策」です。すでに認知症の初期症状が疑われる人は、下の記事を参考にしてください。

認知症に良い食品成分は?クルクミン&イミダペプチドの認知症予防・改善効果
認知症……痴呆、あるいは俗に「ボケ」とも言いますね。とりわけ閉経後の女性はそのリスクが高くなります。 物忘れから始まり、最終的...

更年期の女性ホルモン対策……ひいては、将来の認知症予防は、更年期の初期のうちから、なるべく早く取り組むことが推奨されています。そのほうが効果的だからです。

逆に、効果的な時期を逃してしまって、認知症の初期症状が始まってしまうと、悪循環にはまりこんでしまい、その悪循環から抜け出すことに苦労することになります(上の記事の中で詳しく解説しています)。

まだ間に合いそうならば、急いで対策してください。あなたのすばやい決断と行動が、将来のあなたと、将来のあなたの周りの人たちを、きっと助けることになるはずです。

※1 東フィンランド大学の発表 https://www2.uef.fi/en/crc/ostpre-design

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